ワンルーム暮らしミニマリストブロガーのまさすみです。
前回は老子第5章を紹介しました。↓
https://otukisama.com/laozi-5
今回は、第6章。
この章では老子はタオの性質を「谷」に例えて語っています。
それでは、ご覧ください。
老子 第6章の原文
谷神不死。
是謂玄牝。
玄牝之門、是謂天地根。
緜緜若存、用之不勤。
6章の訳・私の解釈
谷の神は死なない。
これはタオの母性とも言える。
タオの母性の門、これはすべてのものを生み出す根源である。
始まりもなく、はるか昔から続いていて、その働きには終わりもない。
解説・私の思うこと
「谷神不死。」
「是謂玄牝。」
訳:谷の神は死なない。
これはタオの母性とも言える。
老子は、すべてのものが生まれてくる目に見えない空間のことを「谷」に例えています。
深くて広大な谷が老子には何か大きなエネルギーを持った空間に見えたのでしょう。
老子5章では、空っぽ(空:くう)であることの性質を鍛冶屋さんの「ふいご」に例えました。
ふいごは、空っぽだからこそ、動かしたときに風を生み出します。
ツボは、中が空っぽだからこそ、水を貯えることができます。
すべてのものを支えているのは、それらをあらしめる空間。
空間が無ければ、なにも存在できないし、生まれてくることもできません。
老子は、空間の中に秘められた力を知っていたのですね。
また、老子は「谷神」という言葉を使い、女性性にも例えています。
「生み出す」「育む」「包む」「柔和」などは、女性性の特徴ですね。
もちろん、男性にも女性性は存在しますし、女性にも男性性の部分はあります。
本来、境目はありませんが、老子の思考は女性性の要素が強いような気がします。
「玄牝之門、是謂天地根。」
訳:タオの母性の門、これはすべてのものを生み出す根源である。
老子は自分自身も含め、すべてのものが生まれてくる源である母性に対するリスペクトを全81章の所々に垣間見ることができます。
「緜緜若存、用之不勤。」
訳:始まりもなく、はるか昔から続いていて、その働きには終わりもない。
以前の章でも表現されてきたことと同じで、空間やすべてのものを生み出す始まりは、たどって行っても無限に続きます。
「いつからか存在していた」としか言いようがないです。
例えば、自分の命は一体どこが起源なのでしょう。
赤ちゃんは生まれた瞬間に命が宿るわけではありませんよね。
当たり前ですがお腹の中でも生きています。
では、母親のお腹にいるときのいつ? それとも、もっと前?
「細胞も生きている」という視点で見れば、卵子や精子も生きています。
それらも卵巣や精巣で細胞分裂で生み出されます。
これをたどっていくと、両親の細胞になります。
では、両親は? 祖父母は? ~~、人間の祖先の動物は? 単細胞生物は?
ずっと続いていきます。
そうなると、どこで自分の命が宿っているかはわかりません。
科学的に言えば、遺伝子レベルでずっと続いてきています。
ただ、自分が存在しているのは、その途中が途切れることがなく、めんめんと続いてきたからですね。
あとがき
いかがでしょうか?
男性性の特徴は、「支配性」「攻撃性」などと言われます。
老子は男性ですが、タオを生きる人は女性性が強いのではないかと思います。
この世界のすべてに母性が浸透していることを考えれば、男性は女性に感謝をしなくてはいけないなと改めて考えさせられます。